病院のシンクにおいてCare222の紫外線(波長222nm)を照射したところ、病院のシンクから検出されやすい3つの菌に対しての殺菌効果を確認。また、UV-C反射フィルムを用いることで、紫外線が届きにくい影面でも殺菌効果を得られることが確認できました。
・シンクを介したグラム陰性桿菌のアウトブレイクが数多く報告されており、手指衛生ガイドラインでは1メートル以内に薬剤や患者ケア用品を置かないことが定められているが、同論文では、190個のシンクのうち55個で排⽔口から1メートル以内に患者ケア⽤品やその他の頻繁に触れる物品を確認したと報告されている。
■各菌種に対する殺菌効果
Care222の紫外線を45分間シンクに向けて照射したところ、いずれの採取地点(排水口近辺、排水口から30cm、排水口から91cm)においても緑膿菌、エンテロバクター・クロアカ、カンジタ・アウリスをそれぞれ90%以上殺菌することが確認されました。
※殺菌率(n=3)の平均値を記載
・紫外線の照度、積算光量は試験内容の図Aを参照
・論文を元にウシオ電機にて殺菌効果のグラフを作成
■UV-C反射フィルムあり、なしによる影面に塗布した緑膿菌への殺菌効果
UV-C照射フィルムなしの場合において、影面※1の殺菌率は横面※2と比べて低いが、UV-C反射フィルムを用いることでシンク周りに置かれた物品の影面まで十分に紫外線が届き、横面同等もしくはそれ以上の殺菌効果が確認されました。
※1 紫外線が直接当たらない物品の垂直面
※2 紫外線が直接当たる物品の垂直面
・殺菌率(n=3)の平均値を記載
・紫外線の積算光量は試験内容の図A、図Bを参照
・論文に記載されている情報の一部抜粋し、ウシオ電機にて殺菌効果のグラフを作成
出典:Claire E. Kaple, et al. A far ultraviolet-C light technology is effective for decontamination of items in proximity to sinks and is enhanced by a far UV-C reflective surface. Infection Control & Hospital Epidemiology, (2024). https://doi.org/10.1017/ice.2024.150
モーションセンサー※を備えたCare222照射ユニットを、病院の研究ラボのシンクに向けて照射できるよう床上2mにポールで設置し、以下2つの実験を実施。
※30秒間動きが検出されなかった場合に紫外線の照射が開始され、次の動きが検出されるまで継続される。
■各菌種に対する殺菌効果
金属のシャーレに緑膿菌、エンテロバクター・クロアカ、カンジタ・アウリスの菌液(10μL)を塗布し、3か所(排水口近辺、排水口より30cm、排水口より91cm)に設置。Care222の紫外線を45分照射した後、コロニー数を数え、殺菌効果を比較しました。
■UV-C反射フィルムあり、なしによる影面に塗布した緑膿菌への殺菌効果
次に200-250nmのUV-C光を反射する透明なフィルムあり(シンクの後ろの壁に貼り付け)、なしの条件のもと、緑膿菌の菌液(10μL)を3つの物品(ガーゼの箱、除菌シートの缶、手袋の箱)の横面と影面に塗布し、空気で乾燥。その後Care222の紫外線を45分間照射し、スワブ試験を実施。照射前後でのコロニー数を数え、殺菌効果を比較しました。
・同論文にて表面(水平な上面)にも菌液を塗布し照射実験を実施
・シンクの各種地点における紫外線の測定値
(A):UV-C反射フィルムなし (B):UV-C反射フィルムあり
ルイス・ストークス・クリーブランドVAメディカルセンター
■グラム陰性桿菌
グラム染色で赤色に染まり、接触を介して容易に伝播する緑膿菌や大腸菌が代表例としてあげられる。
■緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
細菌の一種。水回りなどの生活環境中に広く常在し、物品を介して容易に伝播する
■エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)
細菌の一種。人と動物の大腸に常在し、物品を介して容易に伝播する
■カンジタ・アウリス(Candida auris)
真菌の一種。近年、従来の抗真菌薬に強い耐性を示す株の存在が明らかになり、医療機器を介して容易に伝播する。
■コロニー
培養により可視化出来るまで増殖した細菌集落のこと
■スワブ試験
綿棒状の採取キットで存在する微生物を拭き取り検査する方法