紫外線の波長の違いによるDNA損傷※1の深達度を比較したところ、Care222の紫外線(波長222nm)は、従来殺菌灯で使用される波長254nmの紫外線よりも角膜に対するDNA損傷の深達度が浅く、有害性※2が低いことが、動物試験により確認されました。
※1 紫外線によって引き起こされるDNA損傷の代表的な指標であるシクロブタンピリミジン(CPD)の局在を観察した。
※2 紫外線を過剰に浴びると角膜や結膜に炎症を引き起こす可能性のこと
・その他波長の実験結果は本論文をご参照ください。
■DNA損傷の深達度評価
600mJ/cm2の紫外線を照射した直後の角膜において、254 nm紫外線では角膜内皮にDNA損傷が確認されたことに対し、222nm紫外線では、角膜上皮の最表層※3のみにDNA損傷が確認されました。
※3 通常、角膜上皮の細胞は生理的なターンオーバーのサイクル中で24時間以内に剥がれ落ちる
・論文に掲載されている図の一部を抜粋
・矢印は角膜上皮で確認されたDNA損傷の様子
(参考)角膜上皮のDNA損傷のようす
■DNA損傷の回復評価
紫外線照射12時間後において、254nm紫外線では角膜上皮にDNA損傷が残っているのに対し、222nm紫外線では254nm紫外線の12倍の紫外線量(600mJ/cm2)を照射してもDNA損傷が消失しました。
・論文に掲載されている図の一部を抜粋
出典: Sachiko Kaidzu, et al. Re-Evaluation of Rat Corneal Damage by Short-Wavelength UV Revealed Extremely Less Hazardous Property of Far-UV-C. Photochemistry and Photobiology (2021). https://doi.org/10.1111/php.13419
■DNA損傷の深達度評価
実験用ラットの角膜に対して、波長222nmと波長254nmの紫外線をそれぞれ600mJ/cm2照射し、直後の角膜断面組織におけるDNA損傷の分布、発生位置を顕微鏡で観察して深達度を評価しました。
■DNA損傷の回復評価
実験用ラットの角膜に対して222nm紫外線を600mJ/cm2、254nm紫外線を50mJ/cm2照射し、照射直後、1、2、6、9、12時間後にDNA損傷の回復を観察し評価しました。
共同研究先:島根大学医学部眼科学講座 谷戸 正樹教授らの研究グループ