HOME>開発パートナーインタビュー>222nm紫外線の人体皮膚への安全性と殺菌効果の立証に向けて
神戸大学医学部附属病院様
神戸大学 大学院
医学研究科 外科系講座 整形外科学
教授 黒田 良祐先生
地域に密着した特定機能病院として、高度で専門的な医療を提供する神戸大学医学部附属病院様。2015年から当社と波長222nmの紫外線について共同研究を進めてきました。そのなかで222nm紫外線は人体に直接照射しても悪影響を及ぼさず、除菌効果もあることが立証され、将来に向けて大きな可能性が示されています。今回は共同研究を行っている整形外科の黒田 良祐先生に、Care222®との出会いから共同研究までの経緯、さらに今後の展望についてお聞きしました。
(黒田先生)
神戸大学医学部附属病院は、東に大倉山公園が広がる閑静な環境にあります。歴史は古く、明治2年に神戸病院として設立しました。以来およそ150年間、兵庫県の北は日本海、西は赤穂エリアを中心に、地域に密着した中核病院として高度で専門的な医療を提供しています。近年は「患者中心の医療の実践」「人間性豊かな医療人の育成」「先進医療の開発と推進」「地域医療連携の強化」「災害救急医療の拠点活動」「医療を通じての国際貢献」を基本理念に掲げ、国の指定による特定機能病院としての役割を果たしています。
さらに、患者様の健康および新しい医療に資するために、質の高い治験や臨床研究を行う研究機関として、また教育機関である神戸大学医学部では、グローバルな視野で活躍する医学研究者の養成を行っています。
(黒田先生)
2015年のある日、知人からウシオ電機さんが有人環境でも照射が可能な紫外線を保持されていると聞きました。最初は人体に悪影響のない紫外線などあるはずがないと半信半疑でしたが、話を聞くうちに次第に惹かれ、姫路市にある工場(当社播磨事業所)へ。担当の方から波長が222nmの紫外線について詳しく話を聞くうちに、抗菌薬が効かず、傷口につくと重症化することがあるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や、インフルエンザなどの感染症を克服する突破口になるのではないかと可能性を感じました。
実は私たちの生活環境に深刻な影響を与える細菌・ウイルス等の対策方法は限られていて、古くから行われている消毒液や洗浄などしか方策がないのが現状です。だからこそ、これまでにない新たな予防や治療の手段として222nm紫外線が活用できるのではないかという期待から、共同研究に取り組む決意をしました。
まず私たちは、222nm紫外線の人体皮膚への安全性と殺菌効果を立証するために、動物とヒトに222nm紫外線を照射する臨床試験を行いました。その結果、高い線量を照射しても、皮膚に急性障害が発生しないことを確認。殺菌効果があることも明らかになり、インフルエンザやエボラ出血熱などの感染症にも有効なことがわかりました。今はコロナ対策に役立っていますが、当時はコロナウイルスのような感染症が発生するとは予想もしていませんでした。
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(黒田先生)
人体への安全性が明らかになったことで、医療への応用、臨床実用が現実的になりました。たとえば手術中の感染リスクを低減させるために222nm紫外線を応用することで、傷口に付着した菌が死滅するのではないか? 内視鏡手術では細菌を除菌しながら行うことも可能では?などと、これまでにない新たな予防や治療手段として欠かせない医療機器になっていくことを目指しています。
将来的には病院にとどまらず、電車や飛行機、旅客船などの交通機関、老人ホーム、食品工場、飲食店、学校などにも設置をしていただきたいですね。そのためにはCare222®にはどのような効果があるのかということを、広く知らしめる必要があります。 たとえば図※1を使って、理解していただくのも良いのではないでしょうか。私としては、Care222®が利用されているスペースは安心と思えるような社会になってほしいと思っています。
(黒田先生)
初めてウシオ電機さんの姫路の工場に行ったとき、スケールの大きさに圧倒されました。その頃は、御社のことを今ほど理解していませんでしたが、そのスケール感からここは何かやってくれそうだと期待に胸を膨らませたことが、つい昨日のことのように思い出されます。
ウシオ電機さんの光を活かしてこれまでにない画期的な医療機器を開発していただくことに、期待しています。Care222®を搭載した紫外線照射装置は約6年で完成しましたが、一般的に開発には約10年の年月を要します。これからは私たちより若い世代である30代、40代の方に10年先を見据えて頑張っていただくことを楽しみにしています。